~健康は食生活から~ リビングキッチンのポイント

最近ではお料理の好き嫌いに限らず、自炊する方が以前よりも増えています。外食よりも経済的ですし、食材がどこの何を使っているのか分かっているので安心安全、また家族水入らずの団らんの時間を大切にできるなど理由は様々です。なかでも健康を意識してという理由が特に多いようです。まさに健康の基本は食生活から。
今回はそんなキッチンのトレンドや健康的な食生活を叶えるキッチン間取りについてご紹介します。

【1】 健康的な食生活をおくるためのポイント


外食が続くと不経済なだけでなく、体調を崩す方もいらっしゃいます。外食ではどうしても脂質が多くなるうえに、栄養のバランスを考えたメニューではないものや、添加物などが多く含まれているケースもあります。また衛生面でもお店によって配慮にバラつきがあり、ひどい場合には食中毒などの心配もあります。

家族の健康のためにも栄養バランスの取れた食事を規則正しい時間に、自宅で家族との団らんを楽しみながらとるのが理想ですね。とはいえ、忙しい現代人は毎日3食の食事を献立から考えて用意し、同じ時間に食べるのはとても大変です。手軽さゆえにコンビニ弁当で済ませてしまったり、ファミレスで済ませてしまうなんてことも。ここ最近では家事が楽になる設備や、時短レシピ動画サイトの普及、添加物が少ない保存食や冷凍食品、ミールキットなども数多くあります。それらを上手に取り入れながら、毎日の調理時間や家族との食事の時間を楽しめると良いですね。

【2】 最新のキッチン設備について


家事が楽になるような機能や、安心安全に調理ができるような設備がいろいろとありますので、最近のキッチン設備をいくつかご紹介します。

写真提供:クリナップ株式会社 「洗エールレンジフード」

①レンジフードの最新機能
・自動掃除機能・・・換気扇やフィルターを外さずに自動洗浄し、表面に汚れが付きにくい加工が施されています。
・省エネ機能・・・細かい風量調整機能や省エネモーター採用による省エネルギータイプ。

②コンロ周りの最新機能
・自動調理、自動火力調整機能・・・ボタン1つで調理できるオート調理機能。スマートフォンと連動してレシピをコンロに送ってオート調理ができる機能もあります。
・清掃性アップ・・・表面にガラストップを採用したり、クリーン仕上げ加工を施すことで汚れが付きにくく、落としやすい工夫がされています。
・上下バーナー・・・上下に設けたダブルバーナーで時短調理を可能にします。
・グリル対応のフタ付ダッチオーブン・・・短時間で高温になるグリルで使える調理器具。庫内に汚れが飛び散らず、掃除の手間もかかりません。

③シンク周りの最新機能
・タッチレス水栓・・・調理中の汚れた手で水栓に触ることなく、手などをかざすだけで自動的に水を止めることができます。簡単に水を出したり止めたりできるので、節水効果も図れます。
・水やゴミが流れやすいシンク・・・シンクの手前に傾斜を付け、排水口まで溝をつけることで、水栓からの水の流れと野菜くずなどのゴミが一緒に流れる構造です。そのため掃除がしやすく、水垢も付きにくくなっています。

④収納の最新機能
・内引き出しや内部ポケット・・・デッドスペースになりがちなすき間や扉の内側などを利用することで、効率よく収納できるようにしています。
・オールスライドドア・・・開き戸ではなく引き出し収納にすることで、出し入れがしやすく、容量もたっぷり収納できます。また少しの力で開閉しやすいよう「てこの原理」を生かした構造の引き出しもあります。

【3】 リビングキッチンおすすめの間取り


家事が楽になる設備以外にも、家族に手伝ってもらいやすいキッチン間取りにすることもポイントです。人気が高いのは、リビングと繋がる「リビングキッチン」。ここでは、その中でもおすすめの事例をピックアップしてご紹介しましょう。

①リビング・ダイニング側と交流しやすい「フルオープンタイプ」は手元を隠せる程よい立ち上がりがポイント
フルオープンタイプとは、キッチンとリビング・ダイニングを壁などで仕切らないタイプのキッチンです。デザイン的にはすっきりしていて美しく、家族と会話しながら料理ができ、動線もムダな動きが少ないので、自然と家族が集まるキッチンになります。吊戸棚もなくしてすっきりしたスタイルが人気のキッチンです。
ただ、常に手元が見え、カウンターの上をきれいにしておかないと乱雑とした印象を与えてしまうため、忙しい家族には不向きです。カウンターに手元が隠せるぐらいの程よい立ち上がりのあるキッチンを選ぶことをおすすめします。

②キッチンカウンターの延長にダイニングテーブルで動作を簡単に!
カウンターとダイニングテーブルが繋がったタイプのキッチンは、配膳がよりスムーズになります。スペースもコンパクトに収まるため、リビングとの距離がより近づき家族との交流がもてます。
キッチンカウンターとダイニングテーブルの適正な高さは異なりますので、設置にあたっては床に段差を設けるか、ダイニングチェアをハイカウンター用スツールにするなど調整してください。並び順も工夫が必要です。ダイニングテーブルは、ガス台と隣接させないことで、油跳ねや臭いなどの心配が軽減します。

キッチンの最新設備や家事が楽になる「リビングキッチン」についてご紹介しました。家族で食卓を囲めば、心も体も健康的な「おうちじかん」を楽しめるはずです。
住宅カタログや実例集などではさまざまなキッチンが掲載されていますので、是非イメージを膨らませてください。

執筆・監修・情報提供:吉田美帆

吉田美帆
一級建築士/インテリアコーディネーター/宅地建物取引士/武蔵工業大学建築学科(現東京都市大学)卒業、大手設計事務所にて小学校・保育園等の設計、マンションディベロッパーにて企画等を経て独立。執筆やセミナー、講演会など幅広く活躍する。
・1996年 武蔵工業大学卒業設計蔵田賞受賞
・2011年 国際森林年間伐材利用コンクール審査員賞受賞
・2016年 フランス国際映像コンペ(MCSD)受賞

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