~快適なくらしの基本~ 掃除がはかどる家の秘訣

最近では家族が自宅で過ごす時間が多くなっていることから家の掃除をこまめにする必要性を感じている方も多いようです。健康の基本は毎日の掃除からというほど、家族の身体への影響はもちろん、精神的な影響も大きいです。
今回は、そんな掃除による健康への影響や掃除が楽になる間取りや設備などについてご紹介します。

【1】 清潔な空間が心と身体をととのえる


よく「部屋の乱れは心の乱れ」ということを耳にしますが、実際に疲れていたり、体調が思わしくない時は掃除が億劫になってしまうことがあると思います。部屋が散らかっているとイライラしたり気分が落ち込んだりと精神的な負担が気になります。

また、掃除が行き届かないことは身体への悪影響も大きく、ハウスダストやダニ、細菌、ウィルスなどは重篤な健康被害を出すこともあり、それらは、たいていは他のホコリなどと一緒に存在しています。水垢も同様に細菌などの温床となり、ウィルスも同様に溜まりやすくなります。

最近では除菌を意識する方が多いですが、このようにホコリや水垢があるところに除菌スプレーなどをしても、温床そのものが残っているので効果は期待できません。除菌をする前に、ホコリや水垢をしっかりと取り除く普通の「掃除」をすることが大切なのです。

すべてのハウスダストや細菌、ウィルスを取り除くことは不可能ですが、極力減らすことによって、人の免疫機能でコントロールできる範囲にすることができます。

このように、こまめな掃除をして清潔な部屋にしておくことは、心と身体をととのえるのに大切なことだと言えます。

家づくりでは、なるべくホコリが溜まらないような工夫をすることや、効率よく掃除ができる間取りにすることが大切です。毎日のことなのでストレス無く快適に掃除ができるようにしましょう。

【2】 掃除がしやすい間取りとは


掃除は毎日のことなので「効率良く」「楽」にできるかどうかということが大切なポイントです。ここでは、間取りを考えるうえで気を付けたほうが良いポイントをご紹介します。

①部屋の角をなるべくつくらない
ホコリは部屋の四隅に溜まりやすいので、部屋の形状はなるべくシンプルな長方形にすると掃除もしやすいでしょう。角が多いとそれだけで、ホコリの溜まる空間が増えるので、シンプルな形状が一番です。

②吹き抜けの高窓やFIX窓などに注意
吹き抜け空間は気持ちが良いですし、FIX窓もデザイン性が高いのですが、掃除の観点からすると、掃除がしづらいので注意しましょう。特にFIX窓は、自分で部屋の内側から外側が拭けないので、専門の業者に依頼する必要があります。

③収納は置き家具ではなく壁面収納に
キッチンのカップボードやシェルフなどは天面にホコリが溜まりますので、できれば壁面と一体になる壁面収納を造作でつくると、掃除の手間が省けます。

④家具のレイアウトを考えて部屋の広さを決める
部屋に対して家具が大きすぎると、通路部分が狭くなり掃除機をかけづらくなります。大きな家具を入れたい場合などは、それに見合う十分な部屋の広さを確保するようにしましょう。また狭いスペースを作らないように、部屋全体で通り道を考えてレイアウトすると良いでしょう。

⑤トイレや洗面所の広さはゆとりをもたせる
トイレや洗面所は省スペースにしがちですが、掃除がしにくくなりますので掃除が億劫にならないように多少ゆとりをもたせると良いでしょう。特に洗面などは、細かいアイテムが多いので、それらが散乱しているだけでも掃除が面倒に感じてしまいます。そんなアイテムを収納するスペースもしっかり計画しておきましょう。

【3】 掃除がはかどる設備とは


掃除をする時に、時間がかかるところの一つが水周りですが、最近ではキッチンやお風呂などの最新設備によりお掃除が楽にできるものが多く開発されていますので、少しだけご紹介していきます。

①キッチンのレンジフード

写真提供:クリナップ株式会社 「洗エールレンジフード」

家の中でも掃除が一番大変だと思うところの1つがキッチンのレンジフード。ノンフィルターで10年間ファンのお掃除が不要のタイプやお湯を入れてボタン一つで自動的にお掃除してくれるものなどがあります。またレンジフードの表面に油汚れなどがこびりつきにくいコーティングがされているものなどもあります。

②トイレの便器

写真提供:株式会社 LIXIL「落ちるンです。100年クリーン『アクアセラミック』」

トイレの便器の汚れは衛生的に特に気になるポイントですが、こちらも表面仕上げのコーティングにより汚れが付きにくい仕上げになっているものや、便器のフチを無くして掃除をしやすくしたもの、ウォシュレット部分の継ぎ目を掃除するために隙間をリフトアップできるもの、使うたびに除菌水で自動的に除菌するもの、また洗剤を入れてたっぷりの泡で水を流す度に自動清掃してくれるようなタイプのものがあります。

③浴室

写真提供:TOTO株式会社「おそうじ浴槽」

浴室の掃除は腰をかがめるなど結構な重労働ですが、最近では浴槽に蓋をして洗剤を入れてボタン一つで浴槽内の掃除をしてくれるものや、洗い場のカウンター下から除菌水をワイパー状に吹きかけ清潔に保てるものなどが発売されています。

掃除の重要性と掃除を楽にするポイントについてご紹介しました。清潔にととのった空間だと健康的な「おうちじかん」を楽しめるはずです。住宅カタログや実例集などではさまざまな掃除がしやすい間取りや設備のヒントが掲載されていますので、ぜひイメージを膨らませてください。

執筆・監修・情報提供:吉田美帆

吉田美帆
一級建築士/インテリアコーディネーター/宅地建物取引士/武蔵工業大学建築学科(現東京都市大学)卒業、大手設計事務所にて小学校・保育園等の設計、マンションディベロッパーにて企画等を経て独立。執筆やセミナー、講演会など幅広く活躍する。
・1996年 武蔵工業大学卒業設計蔵田賞受賞
・2011年 国際森林年間伐材利用コンクール審査員賞受賞
・2016年 フランス国際映像コンペ(MCSD)受賞

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