~おうちでやってみよう~ 地球に優しいサスティナブルな暮らし

最近よく耳にする「サスティナブルな社会」は直訳すると「持続可能な社会」という意味です。なぜそのような事が言われているかというと、地球規模での気温変動や災害などは、我々人間が環境に負荷をかけてきたからであるという認識が広まり、このままでは人間も動植物も住みづらい環境になってしまうことが予測されているからです。そのため、日々の暮らし方や社会のあり方を見直そうという意識が、年々広まってきています。またその社会の実現に向けて2030年までに具体的な目標を国連で定めたものを「SDGs(Sustainable Development Goals)」としています。
今回は、その「サスティナブルな社会」に向けて、今私たちが日々の暮らしのなかで取り組むことができる具体的なポイントについてご紹介したいと思います。

【1】 サスティナブルな暮らし方とは


より良い未来の為に私たちが今できる具体的な暮らし方はどのようなものがあるでしょうか。

①ゴミを減らす
最近は、「ゼロウェイスト」という考え方があります。ゴミをゼロにすることを目標に、ゴミをどう処理するかでなく、ゴミ自体をできる限り減らそうというものです。なぜ減らしたほうが良いかというと、ゴミを燃焼することで二酸化炭素や有害物質が発生する為、地球環境に負荷がかかること、また燃えないゴミの為の埋め立て地からも有害物質が染み出し環境汚染になること、またプラスティックゴミは分解されず、細かなマイクロプラスティックとなり海に流出し、海の生態系に大きな悪影響を及ぼすことなどがあげられます。
最近ではレジ袋が有料化となりエコバッグを持ち歩く方が増えましたが、これもゴミを減らすことにつながります。またコンビニで割りばしやプラスティックのスプーンを断りマイ箸、マイスプーンを持ち歩くという行動もゴミを減らすことにつながります。

またゴミを減らすための行動指針は「5R(ファイブアール)」と呼ばれ、リデュース、リユース、リサイクル、リヒューズ、リペアがあります。
リデュースはゴミの発生そのものを減らすことで、物を大切に長く使ったり、詰め替え用の洗剤などを購入することが推奨されます。
リユースは中古品などを購入して、ものを繰り返し使うことが推奨されています。何回も繰り返し使えるリターナブル瓶など利用することが考えられます。
リサイクルは、ゴミを再び原材料に戻して利用する為に、ゴミ捨ての際しっかり分別することが有効です。
リヒューズは「断る」という意味です。つまり、前述のエコバッグやマイスプーンなどを持ち歩くことで、お店でレジ袋や使い捨てスプーンなどを断る行動が推奨されています。
リペアは壊れたり古くなったりしたものを修理して長く使うことです。家具などをリメイクするDIYなどがそれに該当します。

②フードロスを減らす
食が豊かになった一方で、まだ食べられるのに廃棄されてしまう食品のロス=フードロスは日本では年間で約500万トンと言われています。一人当たり40キロもの食品が廃棄されていることになります。食品を作るのにも廃棄するのにも多くのエネルギーが費やされます。自宅の冷蔵庫で賞味期限切れになったものや傷んだ野菜などを捨てることになってしまった経験は、皆さんにもあると思いますが、これらを極力なくすため、少量パッケージや量り売りなど、ご自身や家族が食べる分を見極めて購入するようにしましょう。またストック食品なども定期的に管理して、食べずに捨てるということが無いように気を付けましょう。さらに、家庭ででる生ごみを肥料としてリサイクルするためにコンポストなどを取り入れて家庭菜園に生かすことも良いでしょう。 合わせて地産地消の食品を購入することで、輸送のためのエネルギー使用を抑えることができます。

それ以外にもサスティナブルな取り組みをしている企業の商品を購入するということも、間接的にサスティナブルな暮らしをすることにつながります。

【2】 コンポストにチャレンジ!


最近家庭でもコンポストにチャレンジする方が少しずつ増えてきましたが、興味はあるものの、臭いや虫の発生などの懸念事項により、手を出せずにいるという方やどのように取り入れたら良いか分からないという方も多いと思いますので、コンポストについてご紹介したいと思います。

そもそもコンポストとは何かというと、落ち葉や生ごみを微生物によって分解、発酵した堆肥のことで、その方法や容器のことを指す場合もあります。

コンポストをやるメリットとしては野菜くずなどを生ごみとして出さずに自宅で堆肥として有効利用できるため、ゴミを減らせることと、安心安全な堆肥をつくることができる点です。

コンポストの種類と仕組みについてですが、基本的に微生物の分解、発酵の力を利用しますが、微生物のなかでも嫌気性菌と好気性菌に頼るものの2種類があります。
嫌気性菌とは空気に触れると死んでしまう菌なので、密閉しなるべく空気に触れないようにします。好気性菌に比べて発酵温度が低く死滅する微生物などが少ないため栄養価の高い肥料となります。液肥もできて利用できるというメリットがありますが、こまめに液肥を取る必要があるのと、発酵までに時間がかかりやすいという点もあります。

好気性菌は反対に空気を好む菌なので、なるべく撹拌して空気に触れさせる必要があります。好気性菌は発酵温度が高いと65度ぐらいになり、虫などが混入しても死滅してしまいます。また嫌気性に比べて発酵スピードが速く臭いもしにくいという特徴があります。またこれ以外にミミズが有機物を食べて分解しその排泄物が肥料になるという方法もあります。

通常はこれらの仕組みを木箱型や回転しやすいドラム型などに入れて行いますが、最近では家電製品として、電気の力を利用して乾燥や発酵をコントロールして手軽に堆肥をつくれるコンポストなども出ていてキッチンなどに置いて気軽に利用できるものもあります。庭やベランダに置くよりも虫が混入しにくいため、衛生的に使いやすいということで人気があります。

いろいろな商品がでていますので、普段のゴミの量や作りたい堆肥の量などから検討してご自身にあったコンポストを取り入れてみてはいかがでしょうか。

【3】 節水・節電になる住宅設備


住宅設備を選ぶときもサスティナブルな暮らしになる商品がいろいろとあります。なかでも節水、節電になる商品は多くあります。これらは環境に優しいだけでなく、水道料金、電気料金の節約にもなる為、お財布にも優しい商品となります。

洗浄水量約4.8Lで少ない水でしっかり流す。
画像提供元:ネオレスト ハイブリッドエコロジーシステム
/TOTO株式会社

①節水になる住宅設備
節水型トイレ
トイレの洗浄水は従来型が毎回約13ℓ使うのに対し、節水型トイレは4ℓ前後と半分以下の水量で流すことができます。
自動水栓
キッチンや洗面所の水栓を自動にすることで、人の動きに合わせて水の出しっぱなしを防ぐことができるので節水になります。

②節電になる住宅設備
・省エネエアコン
家庭の電気使用量の中で多くを占めるエアコンですが、選ぶときには省エネマークを確認し、なるべく省エネ効果の高い商品を選びましょう。合わせて断熱性能を上げる為、外壁の断熱や窓ガラスをペアガラスにしたり、遮熱フィルムを貼るなど対策すると良いでしょう。またエアコンのフィルターをこまめに掃除することも節電につながります。
省エネ冷蔵庫
次に電気使用量が多いのは冷蔵庫ですが、こちらも商品によって消費電力がかなり変わりますので省エネマークを確認して購入するようにしましょう。また食品の詰め込み過ぎは冷蔵庫の効きが悪くなりますので、ある程度の余白ができる容量のものを選ぶようにしましょう。

サスティナブルな暮らしに出来るところから少しずつ取り組んでみてはいかがでしょうか。家づくりの際も、上記で紹介したような節水や節電になる商品を選ぶことで、楽に取り組むことができます。 住宅カタログや実例集などでもサスティナブルな暮らしを実現するために参考になる事例が掲載されていますので、是非イメージを膨らませてください。

執筆・監修・情報提供:吉田美帆

一級建築士/インテリアコーディネーター/宅地建物取引士/武蔵工業大学建築学科(現東京都市大学)卒業、大手設計事務所にて小学校・保育園等の設計、マンションディベロッパーにて企画等を経て独立。執筆やセミナー、講演会など幅広く活躍する。
・1996年 武蔵工業大学卒業設計蔵田賞受賞
・2011年 国際森林年間伐材利用コンクール審査員賞受賞
・2016年 フランス国際映像コンペ(MCSD)受賞

ヒントがいっぱい 住宅カタログの活用法 ヒントがいっぱい 住宅カタログの活用法