~春夏秋冬~ 季節を取り入れた豊かな暮らし方

秋になると金木犀の香りがして、夜には満月を見ながら縁側でお茶とお月見団子を食べて。そんなスローライフが満喫できている方は都市部でどのぐらいいるでしょうか。日々の忙しさに追われ、自然と接する機会が少ない現代人にとっては、「季節を感じる暮らし」よりも効率的に暮らすことを優先しがちなのでは?
季節を感じられる暮らしは、とても豊かで心身ともに健康にしてくれます。今回はそんな季節を感じられる空間づくりや暮らし方についてご紹介したいと思います。

【1】 季節が関係している?心と身体のヘルスケア


日本には四季があり、春には桜をはじめ多くの花が咲き、夏には蝉が鳴き、秋には紅葉を楽しみ、冬には雪景色、といったように1年を通して美しい自然を感じることができる一方で、気温や湿度の変化が1年を通して大きいため、梅雨の時期や秋の長雨の時期、春先などに体調を崩す方は多いようです。
そのような日本の気候に合わせて、昔からの先人の知恵で暦に合わせた養生方法があります。それが二十四節気という1年を24の季節に分けた養生方法です。

例えば、1月の初旬「小寒」と呼ばれる季節には春の七草粥を食べたり、12月の下旬「冬至」には柚子湯に入るなどといった恒例行事があります。実はとても理にかなっていて、柚子湯は、柚子の果皮の成分が保湿やリラックス効果、血流を促進し、寒くて忙しい師走の時期に心と身体をケアすると言われています。また春の七草粥は、胃腸を整える成分があり、お正月で疲れた胃腸を整えてくれる役割があります。

このように日本人は、古来より季節によって養生をおこないながら美しい季節のうつろいを感じて暮らしてきたと言えるでしょう。

【2】季節を取り入れるインテリアのコツ


せっかく美しい四季があるので、それらを感じることができる住まいにしたいものです。具体的なポイントをいくつかご紹介します。

①シューズラックをカウンタータイプにする
収納量を考えて玄関の壁面全部を収納スペースにするケースは多いですが、カウンタータイプのシューズラックにすることで、季節のお花や節分、ひな祭り、端午の節句、七夕、ハロウィンなど季節ごとで飾ることができ、家族もゲストも楽しむことができます。

出典:森林・環境建築研究所「月舞台」

②外の風景を取り入れるための窓を設ける
採光のためだけではなく、外の自然を感じられる場所に大きめの窓を設けることも、室内に居ながら風景を楽しむことができるポイントです。

③アウトドアリビングを設ける
リビングなどから直接出入りできるテラスやバルコニーを設置し、そこに家具などを置いて外でくつろげる空間を設けることで、直接外の自然を感じることができます。

【3】 季節を取り入れるエクステリアのコツ


①庭に落葉樹を植える
メンテナンスを考えて常緑樹ばかり植える方が増えていますが、落葉樹があることで紅葉を楽しんだり、落ち葉拾いをして季節を感じることができます。また落葉樹は夏は日差しをほどよく遮り、冬は落葉することで低い日差しを部屋の中に取り入れることができ、理にかなった植樹と言えます。

②庭に季節の花木や香木などを植える
春はジンチョウゲ、秋はキンモクセイなど香りが強めの庭木を植えることで季節感を感じることができます。

また、季節を感じられる花木の中で丈夫でお勧めなものをいくつかご紹介します。

●春はユキヤナギ、ジンチョウゲ、ドウダンツツジ、ヤマボウシなど

●初夏はアジサイ、ジューンベリーなど

●夏はフヨウ、サルスベリなど

●秋はキンモクセイ、冬はツワブキ、マホニアコンフーサなど

その他にも、ご自身が好きな植物を季節ごとに植えてみてはいかがでしょうか。

季節を感じる住まいづくりのポイントやデザインについてご紹介しました。住宅カタログや実例集などにもいろいろな季節を感じられるデザインの事例がたくさん掲載されておりますので、ぜひイメージを膨らませてください。

執筆・監修・情報提供:吉田美帆

一級建築士/インテリアコーディネーター/宅地建物取引士/武蔵工業大学建築学科(現東京都市大学)卒業、大手設計事務所にて小学校・保育園等の設計、マンションディベロッパーにて企画等を経て独立。執筆やセミナー、講演会など幅広く活躍する。
・1996年 武蔵工業大学卒業設計蔵田賞受賞
・2011年 国際森林年間伐材利用コンクール審査員賞受賞
・2016年 フランス国際映像コンペ(MCSD)受賞

ヒントがいっぱい 住宅カタログの活用法 ヒントがいっぱい 住宅カタログの活用法