~リラックス時間を演出する~ 照明計画のコツ

寒さが身に染みる季節は、温かくしておうちで過ごす事も多いのではないでしょうか。ゆっくり読書をしたり、音楽や映画鑑賞を楽しむ、そんな時間をより充実したものにするために効果的なのが照明計画。
今回は、そんな自宅でのゆったりとした暮らしを楽しむための「照明計画」についてご紹介したいと思います。

【1】 照明計画の基本


住宅の照明というと、少し前までは天井にシーリングライトをつけるだけ、ということが多かったですが、最近ではダウンライトやスタンド照明、ペンダント照明などを効果的に取り入れるケースも増えてきました。また照明器具のバリエーションも増えています。
こちらでは照明計画の基本的なポイントについてご紹介します。

照明計画には大きく分けて、全般照明と局部照明というものがあります。全般照明とは部屋全体の照度をあげるための計画で、局部照明は狭い範囲に絞った照明計画です。
例えば、ダイニングルームの場合、部屋全体をダウンライトなどの全般照明で明るくし、テーブルの上はペンダント照明などで、食事中のみ局部的に明るく照らすことができます。

本来、照明は部屋の明るさを確保するためのものですが、それとは別にインテリア空間を演出するツールとしても活用されます。全般照明と局部照明の2つを組み合わせることで、さまざまな空間を演出できます。

住宅の全般照明は一般的に1畳あたり40w必要といわれており、6畳の部屋だと、6×40w=240wとなり、60w(相当)のダウンライトだと4灯必要という計算になります。

また、照明器具の種類は、白熱灯、蛍光灯、ハロゲン灯、LEDなどがあり、省エネの観点から最近ではLEDが多く採用されています。白熱灯と比べるとLEDの消費電力は約1/6。器具代が高いのでイニシャルコストはかかりますが、ランプ寿命も長いのでランニングコストと合わせると長期利用では断然お得です。またLEDは虫が寄ってこないというメリットもありますので、屋外照明としておすすめです。

またランプには色温度とよばれる色があり、色温度が高いと青白い光、低いと温かみのある暖色系の色となります。一般的に暖色系の色のほうがリラックス効果が高く、演色性も高いと言われています。

ちなみに演色性とは、照らす光源によって色の見え方が異なる性質のことで、色の見え方が自然光(太陽光)で見た場合に近いほどその光源は演色性が良いといわれます。

【2】部屋別のおすすめ照明計画


部屋によってもおすすめの照明計画が異なりますので、それぞれの部屋ごとでの計画をご紹介いたします。

画像提供:株式会社lixil ラシッサ

①リビングルーム
全般照明を調光コントローラ付きのダウンライト照明にすると、映画鑑賞時や全体照度を落としてリラックスしたいときに便利です。局部照明としては、ソファのそばにスタンド照明があれば読書灯としても利用でき、部屋全体のアクセントにもなります。
また、ライティングレール+スポットライトがあれば壁にアートを飾る場合や特定の場所にスポットを当てたい場合、または単に壁などを局部的に照らすことで雰囲気を演出することができます。

②ベッドルーム
快適な睡眠のために、入眠前の時間をいかに過ごすかが大事であると最近よく言われますが、具体的には副交感神経にスイッチしやすい照明にすることが大切です。色温度の低い温かみのあるランプにして、光源の位置は低い位置にすることでよりリラックス度を高めることができます。
また朝の目覚めの時間には、タイマー式照明を取り入れることで自然な目覚めを促すことができるのでおすすめです。

③子供部屋
勉強する環境としては、全般照明+局部照明としてデスクライトを取り入れます。全般照明の色温度はなるべく高くすることで交感神経が優位になるので、勉強に集中しやすくなります。デスクライトにLEDを選ぶ際は影ができにくい構造になっているかを確認すると良いでしょう。LEDは基本的に点発光の光源を集めた形になっていて、デスクライトなど距離が近い照明の場合は特に影ができやすくなりますので、勉強する時に邪魔になる可能性があります。

【3】 リラックスできる間接照明の取り入れ方


光源を見せず、壁などに照明を当てた反射で明るくすることを間接照明と言いますが、光源がみえないため、柔らかい光の印象となり、よりリラックスした雰囲気を演出することができます。間接照明は新築時に建物と一体で作らないといけないと思っている方も多いですが、後からでも間接照明にすることは可能です。

例えば、写真のような後付けできる間接照明の器具もあります。また観葉植物や家具と壁の隙間に照明をいれることで間接照明をつくることもできます。その際は、壁と家具の間にスポットライトやスタンドタイプの照明を付ける良いでしょう。

もちろん新築やリフォームの時などに、建築と一体的に間接照明を入れるとぐっと空間の印象が変わります。コードなども壁や床などに入れ込むことができるので、すっきりしますし、照明も含めてインテリアを統一する事もできるのでおすすめです。

家の中でゆったりと過ごせる照明計画ついてご紹介させて頂きました。住宅カタログや実例集などにもいろいろな季節を感じられるデザインの事例が掲載されていますので、是非イメージを膨らませてください。

執筆・監修・情報提供:吉田美帆

一級建築士/インテリアコーディネーター/宅地建物取引士/武蔵工業大学建築学科(現東京都市大学)卒業、大手設計事務所にて小学校・保育園等の設計、マンションディベロッパーにて企画等を経て独立。執筆やセミナー、講演会など幅広く活躍する。
・1996年 武蔵工業大学卒業設計蔵田賞受賞
・2011年 国際森林年間伐材利用コンクール審査員賞受賞
・2016年 フランス国際映像コンペ(MCSD)受賞

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