~五感でリラックス~ 香りを取り入れた暮らし方
寒さが増し本格的な冬の到来となる季節、家で温かくして過ごす方も多いのではないでしょうか?部屋でゆっくり過ごすのにアロマを焚くという方も増えているようです(*)。人にとって香りはなんとなくリラックスする程度のものと思われるかもしれませんが、実は心身ともにとても良いメリットがあります。
今回はそんな自宅でゆったりと暮らしを楽しむための香りについてご紹介したいと思います。
*参照:「コロナ禍で変わった? 家の中のニオイ対策と香りへのこだわり」 株式会社インテージ 「知るギャラリー」2021年5月6日公開記事
【1】 香りがもたらす心と身体への効果
香りを感じるための嗅覚は、他の視覚や触覚、聴覚、味覚と違ってダイレクトに大脳辺縁系に届きます。その間わずか0.2秒。他の感覚器官は理性的な思考を司る大脳新皮質を通ります。
このように人間の身体は五感から脳への処理経路が2系統あり、感情や本能を司る大脳辺縁系に直接伝わるのは香りだけなのです。ある意味、原始的で動物的な感覚器官とも言えます。またその周辺に自律神経の中枢となる視床下部やホルモンを司る下垂体があるため、それらを素早く整え、心身共にリラックスするのに有効とも言われています。
さらに「この香りはある記憶を思い出す…」という方もいらっしゃいますが、それは、大脳辺縁系に海馬という記憶を司る器官がある事が関係しています。
また近年注目されているアロマテラピーは、様々な香りの成分を取り入れた療法のひとつで、植物から抽出した精油(エッセンシャルオイル)を使って心身に働きかけるものです。アロマテラピーという名称自体が使われるようになったのはおよそ100年前ですが、精油の効能を取り入れた歴史は古く、紀元前3000年の古代エジプト時代から利用されてきたと言われています。現在では、ヨーロッパなどの一部の国で医療としても用いられています。
香りの成分は鼻から嗅覚として大脳辺縁系に伝わるほか、呼気として肺に伝わり血液を通って全身にめぐる経路もあります。このように香りの魅力はその即効性にあるとも言えます。
【2】芳香の種類と選び方
では実際に香りを取り入れる方法として、どのような種類があるのかをご紹介します。
・「アロマキャンドル」はキャンドルに香りがついているもので、火を灯すとロウが解けその熱で香りが広がります。炎の揺らぎと共にリラックス効果が高いアロマです。(写真A右側)
・「ルームスプレー」は香りのついた液体をスプレー状のボトルからミストのように散布するものです。来客時や気分を一瞬で変えたい時などに有効です。(写真A中央)
・「アロマスティック」とは、リードディフューザーとも呼ばれる瓶に入った香油を木製などのスティックに吸い込ませ自然に芳香させるものです。熱源を使わず、詰め替えも簡単なので人気があります。(写真B中央)
・「アロマディフューザー」は香り成分を温めて空気中に蒸散させるもので、素早く香り成分を部屋全体にいきわたらせることができます。気軽に香りを変えることもできるので、気分によって様々な香りを楽しめます。ディフューザーには、電気式とキャンドルタイプがあります。(写真B左側)
ディフューザーで使うオイルには、アロマオイルと精油(エッセンシャルオイル)があり、アロマオイルは人工香料で、精油は植物の成分を高濃度に抽出したものです。アロマテラピーで使うのはこの精油になります。
単に香りを楽しむのであればアロマオイルで良いのですが、しっかりと植物の効能効果を取り入れたい場合は精油を使うようにしましょう。精油かどうかの見分け方はラベルに「精油」または「エッセンシャルオイル」と明記されているかどうかで判断します。
最近では、100円ショップなどでも手軽に買えますが、安価なものは精油ではない場合があるので注意が必要です。専門店などで購入すると良いでしょう。
【3】 お部屋別 香りの楽しみ方と選び方
香りは家全体で統一するのもよいですが、部屋ごとに変えて楽しむ方法もあります。また効果効能を取り入れて香りを選ぶとワンランク上のアロマライフが楽しめます。
ここでは、部屋別の香りの楽しみ方を簡単にご紹介します。
◆玄関
玄関は帰ってきて最初の空間であり、ゲストをお迎えする顔となる空間でもあるので、住む人の個性や好みなどの香りにするのが一般的です。
抗菌もしたいと思う方には、精油の「ティーツリー」をおすすめします。抗菌効果以外にも沈んだ気持ちを上げたり免疫調整機能もあるようなので試してみてください。芳香方法はアロマスプレーやアロマスティックが良いでしょう。
◆リビング
リビングは長くいる場所なので、その時の気分や体調などで香りを変えて楽しむと良いでしょう。明るく楽しい気持ちになりたい方には、柑橘系の「スイートオレンジ」や「ベルガモット」がおすすめです。また「シダーウッド」などの樹木系もリラックス効果がありながら集中力も高められるのでおすすめ。
芳香方法はアロマディフューザーかアロマスティックが良いでしょう。
◆寝室
寝室は快適な睡眠となるように、副交感神経を優位にし、スムーズな入眠を促す香りがおすすめです。睡眠に有効といわれる「ラベンダー」、「ベルガモット」、「イランイラン」の中でお好きなものを選んでみてはいかがでしょうか。芳香方法はアロマディフューザーかアロマキャンドルがおすすめです。
◆トイレ
トイレは無臭派の方も多いと思いますが、ほんのりと爽やかな香りがあるのも快適です。「レモングラス」は消臭効果もありながら柑橘系の爽やかな香りがあり、血液やリンパ液の循環も良くするのでおすすめです。芳香方法はアロマスティックかアロマスプレーが良いでしょう。
ゆったりと過ごせるアロマの取り入れ方についてご紹介させていただきました。住宅カタログや実例集などにもアロマを取り入れたくなるデザインの事例が掲載されていますので、アロマを楽しむ空間の参考にしてみてください。