~ひとりの時間も楽しみたい~ 家の中のパーソナルスペース
家族で過ごす時間はとても豊かで幸せな時間だと思いますが、自宅で過ごす時間が増えている昨今では、自分一人の時間を持ちたいと感じる人が多いようです。人は目には見えない感覚として他者に侵入されると不快に感じる空間があり、それを越える接触が多くなると、家族といえども疲れてしまうものです。自宅に居ながらも自身のスペースを確保することでゆるやかな距離感が心地よく保たれ、より快適に過ごすことができます。
今回はそんな自宅の「パーソナルスペース」についてご紹介したいと思います。
【1】 パーソナルスペースの必要性
「パーソナルスペース」とは他人に入られると不快に感じる自分の周りの「個人的な空間」のことですが、そのスペースの大きさは相手との関係性や性別、年代によっても違うといわれ、さらに個人差もあるものなので、一概に快適な広さというのは決められません。
目安として、アメリカの文化人類学者エドワード・ホールによれば、家族などの親密な相手に対しては0~45㎝といわれ、一方でビジネスシーンなどでは120~360㎝といわれます。
このように必要な広さなどは、シーンや相手によって異なるものですが、家族だからといって「常に近くにいても疲れないはず」や、親子だからといって「いつも一緒にいるべき」という思い込みは避けましょう。いくら仲の良い、愛し合っている家族であっても、そのような思い込みで自身の空間が確保できないと、いつの間にかストレスを溜め込んでしまうなんてことも。最悪の場合、家族をうっとうしく感じてしまうということにもなりかねません。
それぞれが自分の快適なスペースについて考えてみることが大切です。ちょっとでも自分だけで過ごせる空間があると、気持ちのリフレッシュにもなりますし、集中力を高めたい時などに役立ちます。
また最近では在宅ワークの方も多く、仕事をする際はしっかりとスペースを確保しないと集中できずに、ストレスが溜まりがちになってしまいます。小さな子供がいる場合は、親が自宅にいるのに遊んでくれない、というストレスを抱えてしまうことになりますので、ホームオフィスの為のスペースをつくることがおすすめです。
夫婦においても、それぞれの時間が過ごせるように、寝室にドレッサーや机、パーソナルチェアを置くだけでも有効です。
【2】パーソナルチェアの選び方
パーソナルスペースをつくりやすいアイテムとして「パーソナルチェア」がお薦めです。ここでは、どのようなものを選べば良いかをご紹介します。
仕事や趣味の作業をする場合などは、疲れにくいワークチェアがお薦めです。
それ以外に音楽を聴いたり、読書をしたりリラックスする目的の場合は、アームレストの付いているリクライニングチェアがお薦めです。ラウンジチェアなどに比べて場所をとりますが、椅子を置くことで自動的にパーソナルスペースが確保できます。フットレスト付きのものや、オットマンを別に用意しても良いでしょう。
またパーソナルチェアをリビングなど家族がいる場所に置く場合には、目線が合いにくい向きに設置すると良いでしょう。
「ソシオフーガル」と呼ばれる空間手法で、病院の待合室などに用いられるものですが、家族の気配を感じながらもお互いのプライバシーを確保できます。
【3】 パーソナルスペースの空間づくり
パーソナルスペースを確保するために、書斎など一部屋を確保しても良いですが、できない場合でも、リビングの一角や寝室の一角などに設けることができます。個室にしないことで、家族の気配を感じながらも一人の時間をもてますし、個室よりも広く空間を使えるなどのメリットがあります。
リビングの一角にパーソナルチェアを置く場合は、その周囲にコーヒーテーブルや、観葉植物、読書用にスタンド照明を置くと、ぐっとリラックスした雰囲気の空間になります。
またワークスペースをつくる場合は、デスクとワークチェア、書棚を置くと簡単に仕事空間になります。デスクは壁に向けても良いですが、広い空間を感じる為には壁に背を向けた配置にしても良いでしょう。その際は、デスクの背面デザイン(通常壁につける部分)が美しいものを選ぶと、配置を自由に楽しめます。
照明は調光できるようにすると、仕事モードの時は明るく、リラックスモードの時は照度を落とすなど色々なシーンを演出できます。
ご自身の好きなインテリアテイストで、ぜひパーソナルスペースをつくってみてください。
自宅にいながら程よい距離感で家族と過ごせる「パースナルスペース」は、今回ご紹介した以外にも様々な楽しみ方があります。住宅カタログや実例集などにも「パーソナルスペース」を取り入れたくなるデザインの事例が掲載されていますので、是非イメージを膨らませてみてください。