窓で快適おうちじかん〜窓まわりの活用術〜

新緑がまぶしく色とりどりの花が咲き、窓の外のキラキラとした景色を楽しめる季節となりました。住まいにとって窓は、内と外を視覚的につなぐ役割がありますが、それ以外にも室内温度や、紫外線のカット、換気や断熱性能への影響など空気環境に大きな影響を与える重要な要素でもあります。また、窓は古来より様々な装飾やデザインが研究され、芸術家の多くが窓を題材にしたりと、情緒的にも人は窓に関心を寄せてきました。
今回はそんな窓の役割や魅力的な窓まわりをつくるコツをご紹介します。

【1】 室内環境の快適さの要は「窓」にあり


窓の役割には採光や換気という住まいにとって大切なものがあり、建築基準法でも採光、換気の為の窓のサイズが規定されています。また住まいの断熱性の多くが窓から失われる為、窓の断熱性によっては、夏は熱くて冬は寒い、部屋ごとに温度差のある住まいになってしまいます。それを解決するには、窓の断熱性をあげることが重要で、以前はシングルガラスが標準でしたが、最近ではペアガラスやトリプルガラスなどを選ぶ方も増えています。
また最近は、機械換気で24時間換気できる仕様が多いですが、風通しという意味では機械に頼らず、窓からフレッシュな空気を取り込み家の中を流れるようにするのは気分も良いですし、電気に頼らない計画は防災の観点からも大切です。このように窓は住まいの快適性に大きな影響を与えます。

機能面だけではなく、視覚的に外の自然を内側に取り込む役割もあります。その際に、美しい海や山々などの景色があればベストですが、そのような豊かな自然でなくても、庭の木が1本見えるというだけでも豊かな暮らしが実現します。

【2】 「目的別」窓の選び方


窓の選び方はその目的や用途によってそれぞれ異なります。目的や用途に合わせてサイズや形状、配置の工夫をすることが大切です。

たとえば、窓の外の景色を積極的に楽しみたい場合は、通常の引き違いのサッシにするよりも、真ん中に邪魔な縦桟が入らないFIX窓にしたほうが、綺麗に景色を取り込むことができます。ただし、都会などで目の前の景色があまり良くなかったり、隣地が近い場合などはハイサイドライト(高窓)といって、天井付近に横長の窓を設置するのがおすすめです。

また、書斎やクローゼットなど、窓の大きさよりも壁面の面積を確保したいような場合は、縦スリット状のすべり出し窓などが良いでしょう。紫外線をカットする熱線吸収ガラスや合わせガラスなどにすると、大切な書籍や衣類を紫外線から守ることができます。

他にも、リビングなど特にインテリアにこだわりたい場所は、なんとなく窓をつけるのではなく家具やアートなどのレイアウトを考慮して、適切な位置に適切なサイズの窓を設置するようにしましょう。

【3】 窓まわりを素敵に飾る秘訣とは


窓まわりを素敵に飾る方法としてまず思い浮かぶのは、カーテン&レース、ブラインドやシェードなどで窓を装飾するウィンドウトリートメントではないでしょうか。おすすめなのは、窓台をもうける事です。窓枠を少し広めにとっても良いでしょう。これらがあることで、お気に入りの花瓶やオブジェ、小物を飾ることができます。窓枠の幅に合わせて飾るとすっきりとした窓まわりになります。飾るものとしては、ガラス製のものにすると、光が透過するので、光を遮って暗くなることがなく、色付きガラスの場合は、ほのかに色づいた光が室内に差し込み綺麗です。また写真のように、少し低い位置の窓台にクッションなどを置いてベンチを設けることで、読書やお茶を楽しむ、窓際のコージーコーナー(居心地の良い片隅)ができあがります。

窓の役割と種類や窓まわりの飾り方のヒントをご紹介しました。これらのアイデアを取り入れれば「おうちじかん」がより楽しく快適なものになるはずです。住宅カタログや実例集では多くの窓の事例も掲載されていますので、是非イメージを膨らませてください。

執筆・監修・情報提供:吉田美帆

吉田美帆
一級建築士/インテリアコーディネーター/宅地建物取引士/武蔵工業大学建築学科(現東京都市大学)卒業、大手設計事務所にて小学校・保育園等の設計、マンションディベロッパーにて企画等を経て独立。執筆やセミナー、講演会など幅広く活躍する。
・1996年 武蔵工業大学卒業設計蔵田賞受賞
・2011年 国際森林年間伐材利用コンクール審査員賞受賞
・2016年 フランス国際映像コンペ(MCSD)受賞

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