おうちじかんを楽しむ 〜インナーガレージのある暮らし〜

残暑が厳しい季節、自宅で過ごす方も多いのではないでしょうか。駐車スペースを屋外ではなく建物の中につくるインナーガレージは、ビルトインガレージとも呼ばれますが、自宅にいながら半屋外スペースとして利用できるので近年注目が集まっています。
今回はそんなおうち時間を楽しくするインナーガレージの魅力やつくり方についてご紹介します。

【1】 インナーガレージの魅力とは


インナーガレージは、元来は大切な車を屋外ではなく屋内に格納することで、ホコリや傷から守る目的であったり、土地が狭小で、駐車スペースが確保できない為に建物の中に取り込んだりする目的でつくられるものでしたが、近年では、天井のある半屋外スペースとして、様々な用途での使い方を楽しむ方が増えています。

車のメンテナンスはもちろんのこと、家具などを製作するDIYや、園芸の作業スペース、BBQなどのアウトドアや、ご近所に向けてのガレージセールなど、幅広い楽しみ方ができます。

天井がある為、天候に左右されずに楽しめたり、自宅内なので、準備や後片付けが楽であったり、資材などの保管庫を併設できたりと、何かとメリットが多いのが特徴です。

【2】 インナーガレージのつくり方


では、実際にどのようにインナーガレージをつくればよいのか、そのポイントをご紹介します。

まずは必要な面積ですが、自動車のサイズや数によっても違いますので、ご自身の車に合わせた計画が必要となりますが、車1台+収納を充実させたい場合は5~6坪ぐらい確保する必要があります。また、将来的に車椅子を利用することを考えると、その分のスペースもみておくと良いでしょう。

なお、法律的にガレージ部分は、延べ床面積の1/5を上限として容積率の計算から除外できるのは大きなメリットです。

また、居住スペースとガレージをつなぐ出入り口をどこに設置するかも重要です。
車から玄関までの動線がスムーズにいくよう計画します。荷物をもって通れるだけの幅が確保できているか、収納スペースを設ける場合は、駐車した状態でも物を出し入れできるか、などを確認するようにします。

場合によっては、玄関と兼用するような間取りも可能です。狭小地など効率よく面積を使いたい場合に最適です。

インナーガレージを趣味や家族と楽しむ目的で考える場合には、リビングなどからそのままつながる間取りも人気があります。ガレージも居住スペースの一部のように利用できるので、趣味を楽しみつつ家族との会話も弾むことでしょう。野外ではないので、子供の遊び場としても安全です。

インナーガレージをどのように利用するのかに合わせて、検討してみてください。

【3】 インナーガレージを作る際の注意点


インナーガレージを作る際に気を付けたいのは、主に「臭い」と「音」です。

ガレージの中は、車のガソリンの臭いや、BBQをした時の臭いなどがどうしてもこもってしまいます。こまめな換気ができるように、窓をつけたり、換気設備をつけるなどして、しっかりと臭いを輩出し、新鮮な空気を取り入れるようにしましょう。

また、ガレージ内はエンジン音やシャッターを開閉する音が発生し、意外と響くものです。ガレージに隣接する居住スペースに、寝室などの静かにくつろぎたいスペースがあるとストレスを感じてしまいますので、そのようなスペースの近くには設けないなどの工夫が必要になります。

ご自宅で半屋外空間のインナーガレージがあると「おうちじかん」がより快適なものになるはずです。住宅カタログや実例集などでは、さまざまな間取りが掲載されていますので、是非イメージを膨らませてください。

執筆・監修・情報提供:吉田美帆

吉田美帆
一級建築士/インテリアコーディネーター/宅地建物取引士/武蔵工業大学建築学科(現東京都市大学)卒業、大手設計事務所にて小学校・保育園等の設計、マンションディベロッパーにて企画等を経て独立。執筆やセミナー、講演会など幅広く活躍する。
・1996年 武蔵工業大学卒業設計蔵田賞受賞
・2011年 国際森林年間伐材利用コンクール審査員賞受賞
・2016年 フランス国際映像コンペ(MCSD)受賞

ヒントがいっぱい 住宅カタログの活用法 ヒントがいっぱい 住宅カタログの活用法