趣味の時間を楽しむ ~シアタールームのある暮らし~

秋の香りがただよう季節となりました。ゆったりと本を読んだり、映画を観たり、音楽を聴くなど文化的な時間を楽しむ方も多いのではないでしょうか。最近では映画や音楽がオンラインで配信され、自宅に居ながらライブや映画鑑賞を本格的に楽しめる「シアタールーム」に注目が集まっています。
今回はそんなおうち時間を楽しくする「シアタールーム」の魅力やつくり方についてご紹介します。

【1】 シアタールームの魅力とは


最近ではリビングのテレビやパソコン、タブレットやスマホなど場所や時間も自由に映画や音楽を楽しむことができますが、専用のシアタールームをつくるとどのように楽しめるのでしょうか。

「シアタールーム」は、自宅の一室を専用の機材を使い防音にも配慮することによって、家族や近隣の方に遠慮することなく質の良い音楽を大音量で、また大画面で映画などを楽しむことができます。照明やインテリアなどを工夫することで、集中力を高めることも、リラックスした雰囲気にすることも可能です。ひとりではもちろん、家族と一緒にゆったりと鑑賞することができます。
またスポーツ観戦など、つい大声を出してしまうような場合でも家族や友達みんなでエキサイティングに楽しむこともできます。

その他、防音性能もあるため、楽器の練習やカラオケなども楽しめます。

【2】 理想的なシアタールームのつくり方


では、実際に「シアタールーム」をつくる場合のポイントをご紹介します。
ポイントは、防音と遮光、機材の選び方です。

防音に関しては、遮音材を壁や床、天井など部屋全体に用います。より高い防音効果とするには扉や窓にも配慮が必要になります。地下室に設ける場合は、窓が無い分より高い防音性が期待できます。また、単に音の流入流出を防ぐだけではなく、より良い音響空間とするには適切な場所に吸音材などを配置する計画が必要となります。このあたりは専門性が必要になりますので、設計士や専門の防音建材メーカーに相談しながら計画すると良いでしょう。

また防音だけでなく「遮光」も重要です。映画など真っ暗にすることで非日常的な体験が自宅でできるのもシアタールームが人気の理由です。窓のある場合は、スクリーンなどに光が当たらない工夫が必要です。床面に接する低い地窓など、沢山の光が部屋の中に入ってこないよう計画しましょう。光を防ぐ遮光カーテンなども効果的です。

必要な機材に関しては、基本的なものとしてプロジェクター、スクリーン、スピーカーがあげられますが、最近ではamazon primeやNetflix, YouTubeなどの外部コンテンツを直接見られるテレビが主流なので大型テレビで代用もできます。

また、スピーカーも理想的な音響が作れる5.1chがベストですが、最近では気軽に臨場感あふれる音を楽しめるサウンドバーやテレビ画面全体から音が伝わる有機ELテレビなどもありますので、ご予算や必要なグレードなどによって選ぶことをおすすめします。

画面のサイズは大きければ良いということではありません。部屋の大きさに対して画面が大き過ぎると、映画館の最前列で観るように目や首などが疲れてしまいます。理想的なのは、画面の幅に対して1.5倍の距離が取れる位置です。十分な距離が取れる広さや家具の配置を計画しましょう。

【3】 シアタールームのおすすめインテリア


シアタールームをより楽しむためには、インテリアにも配慮することをおすすめします。
通常の部屋のように白い天井などにすると、照明を落としても画像が写り込むので、濃い色にすると映り込みがなく綺麗に映像を楽しむ事ができます。また、窓がある場合はしっかりと遮光ができるカーテンやブラインドなどを設置しましょう。

■照明
視界に写り込むものを少なくするという意味でも、ダウンライトなどの埋め込み式の照明が適しています。さらに調光できるコントローラーを設置すると雰囲気に合わせて調整できます。より快適にするためには、照明の電源を1つのコントローラーでまとめてオン・オフできるシステムを入れると、ストレスなく上映会の雰囲気をつくりやすくなるのでおすすめです。

■椅子
長時間座ることを考慮して疲れにくいタイプの椅子を選んだり、足を伸ばせるようにオットマンなども用意すると良いでしょう。座面の生地も白いものは避け、落ち着いた濃い色にすると映り込みを避けることができます。

■配線はしっかり収納する
上質な空間を演出するのに重要なポイントとして配線にも注目しましょう。配線はそのままにすると目障りなうえにホコリが溜まって最悪の場合、発火するなどの危険性があります。配線をまとめるようなアイテムを使うか、壁の中に埋め込むようにあらかじめ計画しておけば、スッキリとしたシアタールームが実現します。

ご自宅で映画や音楽を周りに気兼ねなく集中して楽しめるシアタールームがあると「おうちじかん」がより豊かなものになるはずです。住宅カタログや実例集などでは、そのような趣味を楽しむためのさまざまな間取りが掲載されていますので、ぜひイメージを膨らませてみてください。

執筆・監修・情報提供:吉田美帆

吉田美帆
一級建築士/インテリアコーディネーター/宅地建物取引士/武蔵工業大学建築学科(現東京都市大学)卒業、大手設計事務所にて小学校・保育園等の設計、マンションディベロッパーにて企画等を経て独立。執筆やセミナー、講演会など幅広く活躍する。
・1996年 武蔵工業大学卒業設計蔵田賞受賞
・2011年 国際森林年間伐材利用コンクール審査員賞受賞
・2016年 フランス国際映像コンペ(MCSD)受賞

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