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よくわかる! 注文住宅「建て替え」講座

今回のコラムでは、注文住宅の「建て替え」のポイントについてや建て替えだからこそ必要な工程や注意しておきたいポイント、住宅ローンについてもご紹介いたします。

建て替えのダンドリ

 今住んでいる家を壊して同じ場所に新しい家を建築する建て替え計画だからこそ、発生する工程が下記の図となります。一度家を壊すためには、まず仮住まいに引越しして、家を空っぽにし、解体工事を始めます。新しい家が完成して引渡し後、仮住まいからの引越しが必要となります。仮住まい期間は、家の規模や施工する会社によっても違いますが、電気・ガス・水道などのうち、解体工事前に止めるインフラへの連絡や引き込んでいる電線を外すなど事前の準備も必要となります。ゆとりを持って準備を進めるためには、解体工事着工の1週間前までに仮住まいへの引越しを完了しておくほうが良いかもしれません。
 引越しも時期によっては混雑します。なかなか引越し業者が見つけられずに慌てるケースも稀にあります。仮住まいへの引越しが完了しなければ、当然、解体工事も始められないことになります。計画通りに解体工事を始めるためには、着工前のダンドリもとても大切になります。

 そして、実家を建て替えて二世帯住宅を建築する場合などにありがちな盲点が下記の図になります。これは私がハウスメーカーで営業として関わってきた経験から感じることです。特に実家の荷物の片づけに関しては、ご両親が高齢になればなるほど、なかなか進まない傾向にありました。捨てる物や残す物の断捨離に時間がかかる、押入れの奥から懐かしい物を見つけてしまうなど、早めに着手したはずが中々片づけは終わらず、遠方に嫁いだ娘さんまで駆り出されて、整理をするなんてケースも少なくありません。何十年もそこに住んでいたからこそ、簡単に整理が出来ないケースもありますので、建て替え計画が決まったら、早めに荷物の整理に着手することをお勧めします。

建て替えの住宅ローンのポイント

 前述した通り、建て替えだからこそ発生する工程が仮住まいと2回の引越し(旧居⇒仮住まい、仮住まい⇒新居)と解体工事です。それぞれの工程には、もちろん費用もかかりますので、次に3つの費用のポイントについて触れます。

①解体工事
 通常、ハウスメーカーが解体工事も含めて契約を交わすか、提携している解体業者を紹介して、直接契約を交わすケースが多いと思います。
 注文住宅の場合、打ち合わせを進めているハウスメーカーに工事に関わることはお任せしてしまうことも少なくありません。でもどうしても予算的に折り合いがつかず、計画内容を色々と見直してコストダウンを図りたい場合、解体業者を別に探すことも問題ありません。ただその場合、他と比べて極端に安い見積書を出す解体業者がいたら、注意が必要です。絶対とは断言できませんが、不法投棄をしている業者の可能性もあります。不法投棄は業者の問題で自分達には関係ないともし思っていたら大間違いです。万一、不法投棄が判明した場合、その業者に工事を発注した側も罰せられてしまいます。どうせ壊す費用だから安くしたいという気持ちは痛いほど分かりますが、極端に安い場合は気を付けましょう。

②2回の引越し
 建て替えでは2回の引越しが必要となります。ポイントは仮住まいに引越すタイミングと新居に戻ってくるタイミングは当然、時期が違うということです。
 引越し費用は通常、時期により料金が変動しています。春や秋の引越しシーズンと言われる時期は高く設定されていたり、そうでない時期は安かったり、平日か週末かによっても違います。引越し業者の見積をお願いする際に2回の引越し前提で見積をお願いし、早期に費用を確定できると良いと思います。

③仮住まい費用と貸倉庫
 仮住まいで悩ましいのが、仮住まいに全ての荷物を入れようとすると相応に広い家を借りなければいけないということです。仮住まい期間に必要な物だけを持ち込んで、使わないものは貸倉庫に入れてしまうと割り切れば、最低限の広さの家を借りれば良くなります。
 また最近では、注文住宅に伴う諸費用も住宅ローンで借りられるようになっていますが、仮住まいの家賃や貸倉庫費用は含められないケースがほとんどです。資金計画を考える際に注意しましょう。

建て替えの住宅ローンのポイント

 注文住宅では通常、着工時・上棟時・竣工時と3回に分けて工事代金を支払う必要があります。一方で住宅ローンは家が完成しないと融資実行しないのが基本です。ただ分割実行やつなぎ融資で工事途中の支払いに対応可能な銀行も多くありますので、住宅ローン選びの際には対応可能かどうかという観点での比較も必要になります。

 建て替えには建て替えなりのポイントがあります。是非、ハウスメーカーの担当者とも上手に付き合いながら後から「見落としていた!」なんてことが起きないように建て替え計画をしましょう。

監修・情報提供:佐藤 陽(ファイナンシャル・プランナー)